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カカオに関わるすべての人をがお
「メイジ・カカオ・サポート」で持続のうな社会を目指す

明治ホールディングス株式会社

17.パートナーシップで目標を達成しよう

ひんこん、気候変動やかくなど、世界がかかえる課題をかいけつしていくためには、さまざまな人と協力し合う、「パートナーシップ」が欠かせません。

わたしたちにとって身近な「チョコレート」。その原料は海外で生産される「カカオ」です。 チョコレートをつくるメーカーの明治では「メイジ・カカオ・サポート」という取り組みを通して、カカオを生産する国やいきと協力し、生産地が抱えるさまざまな課題にいっしょに取り組んでいます。 「メイジ・カカオ・サポート」について、せんじょうあつさんにお話を聞いてみました。

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かぶしき会社 明治 マーケティング本部 カカオマーケティング部 カカオG
先生篤史さん

海外で育ったカカオがチョコレートになるまで

みなさんは、ふだん食べているチョコレートがどのようにつくられているか知っていますか? チョコレートの原料は「カカオ」というフルーツです。カカオはマンゴーやもものように、果肉の中に種があり、この種の部分(=カカオ豆)を使います。 カカオをつくることができるのは、「カカオベルト」といわれるほく20度、なん20度にはさまれたかぎられた地域で、主な生産地はアフリカ、中南米、東南アジアなどです。 (せんじょうさん)

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しゅうかくされたカカオは、チョコレートの原料となるカカオ豆を取り出して、バナナの葉でおおったり木箱に入れたりしてはっこうさせ、かんそうするところまでを生産地で行います。特に発酵は、チョコレートのおいしさを大きく左右する大事なこうていとなります。
乾燥したカカオ豆は日本の工場に運ばれ、すりつぶして、なめらかになるまで練りあげるといった加工ののち、みなさんの手元においしいチョコレートとしてとどけられます。 (せんじょうさん)

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カカオの実とその中にある種

「メイジ・カカオ・サポート」とは?

明治は、チョコレートに必要なカカオを求めて、世界中のカカオ産地に足を運んでいます。
しかし、そこには、さまざまな課題があり、カカオの生産には大きな問題があることが分かりました。

明治の研究所社員がカカオ生産地をおとずれてみると、水や教育などインフラの不足、しきじゅつ不足による不安定な生産としゅうにゅう、さらには、児童労働や森林げんしょうなど、さまざまな課題がありました。 そして、かかえている課題やこまりごとは国やいきによって大きくちがうことに気づきました。

こうした課題をそのままにしておいては、いずれ、カカオの生産が持続のうなものではなくなってしまいます。

そこで、2006年、明治は、チョコレートをつくる会社のせきにんとして、カカオ産地が抱える課題に向き合い、それぞれの困りごとをいっしょかいけつしていくためのプロジェクト、「メイジ・カカオ・サポート」を始めました。(せんじょうさん)

世界9カ国でてんかいする「メイジ・カカオ・サポート」017meiji_010-02.png

現在、「メイジ・カカオ・サポート」は世界9カ国でてんかいしています。カカオ産地の人たちが一番に求めていることは何か。 せつせつなのか、きんなのか、それとも、知識や技術なのか。 明治の社員がカカオ生産地を直接訪問して、現地の人の声に、ていねいに耳をかたむけて、話し合いを重ねながら一緒に解決していくことを大切にしています。(せんじょうさん)

「メイジ・カカオ・サポート」の取り組み①【ガーナ】

日本ににゅうされるカカオの約8わりがガーナ産。 ガーナでの「メイジ・カカオ・サポート」の取り組みはどのようなものなのでしょうか?

ガーナでは水道がきゅうしていないいきもあります。そのような地域では主にじょせいと子どもたちが川への水くみに時間と手間をとられていました。みなさんも写真やえいぞうで、アフリカの女性や子どもたちが頭の上に大きな水がめをせて運ぶ様子を見たことがあるのではないでしょうか。水を運ぶのは大変な重労働です。

そこで「メイジ・カカオ・サポート」では、いつでもきれいな水が使えるように、ガーナに10の井戸をぞうしました。井戸水は、生活用水だけでなく、カカオのなえを育てるのにも役立ててもらっています。

また、教育を受ける機会が少ない地域では、子どもたちに向けて、「絵をえがく」・「チョコレートをつくる」などのじゅぎょうじっ。 カカオの絵を描いたり、しゅうかくしたカカオを使ったチョコレートを手づくりしています。(せんじょうさん)

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ガーナで開催したアート教室。

このほかにも、ガーナのカカオ農家に対して、りょうしつな品種やたくさん収穫できる品種のカカオの苗木をしょうはいしたり、気候変動にもたいおうしたさいばいほうや森林のげんしょうを食い止める農法などのじゅつ支援も行っています。

井戸ができた地域の方々からは「命がすくわれた。生活がつながった。かんになったら、井戸のありがたさをもっと感じるだろう」という声をいただいたと聞いています。わたしもこの話を聞いて、この取り組みの大切さを改めてにんしきしました。 (せんじょうさん)

「メイジ・カカオ・サポート」の取り組み②【ブラジル】

ブラジル北部にある「トメアスーカムタ農協」は、約90年前、日本からじゅうしたにっけいじん組合員を中心とする農協で、「アグロフォレストリー」という農法を取り入れてカカオを生産しています。

「アグロフォレストリー」は自然にならい、高さのことなるさまざま農林産物をいっしょに育て、農業をしながら森を育てる、「森をつくる農法」とも言われ、持続可能な農法として注目を集めています。017meiji_005.png

ブラジルのトメアスーカムタ農協の人たち。

農協では、当初から、りょうしつなカカオを生産していましたが、明治は、おいしいチョコレートをつくるために、さらにしつの良いカカオづくりにちょうせんすることをていあんし、パートナーシップを結んで、一緒にカカオのはっこうの研究や生産方法の改良に取り組むことになりました。

明治の研究開発チームがげんほうもんし、じゅつしきに関するどうを行ったところ、おどろくほど短期間で技術やひんしつレベルが上がり、質の良いカカオ豆を生産できるようになりました。

今では、農協のみなさんは、質の良いカカオを一緒につくる大切なパートナーです。 明治は、農協で生産したカカオをてきせいかくで買い取るという長期的なけいやくも結んでいます。

これまでは、かんきょうにやさしい農法で、なおかつ質の良いカカオをさいばいしていても、適正な価格で買ってもらえず、農家の収入に結びついていませんでした。 しかし、きちんと作ればカカオのに見合った価格で買い取ってもらえる、という契約をすることで、農協で働く農家の収入が安定し、安心して質の良いカカオづくりを続けていくことができるようになりました。(せんじょうさん)

長期的な取り組みは、らしや生活が安定するだけではありません。品種改良の研究や品質管理のためのしき、システムのせいなど、カカオ豆をより多く生産するためにお金を使うことができるようになります。 そして、それはカカオ農家のさらなる収入アップにもつながります。017meiji_011.png

パートナーシップで生まれる生産者、お客様、明治の循環。

農協とのパートナーシップによって良い関係をつくりだすことで、明治はよりおいしいチョコレートをお客様におとどけすることができ、生産者・お客様・明治のじゅんかんをつくりだすことができます。結果、それが森のさいせいという環境を守ることにもつながっています。

実は、農協の方々は、それまで自分たちが生産したカカオから作られたチョコレートを食べたことがなかったそうです。自分たちのカカオから生まれた明治のチョコレートを食べたときは、じょうかんげきしてくれて、「このチョコレートが日本のお店にならんでいることを思うと、きょうにしきかざった気分です」とおっしゃってくれました。(せんじょうさん)

カカオを通してパートナーシップについて考えよう

明治は、「メイジ・カカオ・サポート」を通して、チョコレートに関わる全ての人ががおになるようなじゅんかんをつくりだし、カカオ産地や農家をく環境が持続のうじょうたいになることを目指しています。

しかし、カカオ生産国の中には、森林げんしょうや児童労働といった、明治だけでは解決することができない、ふくざつな課題もあります。

こうした課題に対しては、世界カカオざいだんなどによる森林のかいふくを目的とした「CFI(Cocoa & Forests Initiative)」への参画、カカオ産地の児童労働をなくすための活動をすいしんするNPO「ICI(International Cocoa Initiative」へのめいなど、多様なパートナーとの関係を強化することで、その解決に取り組んでいます。

チョコレートをつくる会社、その原料となるカカオ生産国の農家やだんたい、そしてカカオに関係するたくさんの人たちが協力し合うことで、りょうしつなカカオの生産とおいしいチョコレートづくりが持続可能なものになっていきます。

これからみなさんがチョコレートを食べるときは、ぜひカカオを生産する遠い国やいきのことも考えてもらえるとうれしいですね。 また、生産者だけ、明治一社だけでは解決がむずかしい課題について、みんなで協力しあいながら解決に取り組んでいるように、みなさんの身の回りに起きるこんなんや目標についても、だれかといっしょに解決することを考えてみてください。一人でなやまない、仲間を見つける、そんな行動もSDGsの目標達成につながっていくのではないでしょうか。(せんじょうさん)

コラム:森をさいせいさせるアグロフォレストリー

アグロフォレストリーとは、農業(アグリカルチャー)と林業(フォレストリー)をかけ合わせた言葉です。同じ土地で一種類の作物をつくるのがいっぱんてきな農業のスタイルですが、アグロフォレストリーでは、同じ土地で同時にふくすうの作物をさいばい。そのため、見た目は「畑」というよりも「森」のようなイメージです。

しゅうかくできる時期がそれぞれちがうため、れることなく収穫してしゅうにゅうが安定する、病気などで作物がぜんめつするリスクをらせるなどのメリットがあります。また、さまざまな作物が育つことで土地の生物のようせいも守られ、かんきょうにもやさしい農法です。世界中でこのアグロフォレストリーを取り入れた農業が行われており、その土地の環境に合わせた作物を組み合わせて栽培しています。017meiji_012.png


原稿作成:株式会社 日経BP


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