みんなで取り組むペットボトルの完全循環
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングスは、セブンーイレブンやイトーヨーカドーのお店で回収したペットボトルを利用して、資源を循環させる取り組みをしています。その具体的な取り組みについて、セブン&アイ・ホールディングスでさまざまな商品開発をしている石橋誠一郎さんに教えてもらいました。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員 グループ商品戦略本部長 石橋誠一郎さん
(※所属は2019年時点)
ペットボトルからペットボトルへ
セブン-イレブンやイトーヨーカドーなどのお店では、みなさんが使い終わったペットボトルの回収をしています。この回収したペットボトルで、もっと環境のことを考えた取り組みができないかと思い、「お店にある回収機で回収したペットボトルだけでつくるペットボトル飲料」『一(はじめ)緑茶 一日一本』を開発しました。
この商品で使われているペットボトルの原料はお店で回収したペットボトルだけ。つまり、お店で回収したペットボトルで新しいペットボトルをつくり、もう一度お店で販売している、世界初の「完全循環型ペットボトル」なのです。
(石橋さん)

「一(はじめ)緑茶 一日一本」は使い終わったペットボトルからつくったペットボトル飲料。 ※2019年撮影
日本では、今でも、使い終わったペットボトルの約9割は回収されて、その一部は衣服や食品のトレイなどの原料として再利用されています。
しかし、この仕組みをもう一度見直して、回収したペットボトルを再び新しいペットボトルに生まれ変わらせる、100%のリサイクルが実現できれば、資源がムダなく、ずっと循環し続け、ごみが生まれることもありません。

飲み終わったペットボトルが回収されてもう一度お店に。これを繰り返せば、資源がずっと循環し続ける。
「一(はじめ)緑茶一日一本」は、ペットボトルの回収、製造、販売をすべてセブン&アイグループで確認することで、製品がどのようにつくられているのか、回収したペットボトルがどのように使われたのか、責任をもってお客様に説明できるのも大きな特徴です。
コンビニやスーパーなどのお店で、お客様に直接販売するわたしたちには、その製品がどのようにしてつくられているのか、きちんと説明する責任があると考えています。(石橋さん)
さまざまな協力で実現
この完全循環型ペットボトルの取り組みは、さまざまなパートナーの協力があったから実現できたと石橋さんは言います。
「一(はじめ)緑茶一日一本」では、回収から製造、販売までの工程を適切に確認し、「お店で回収したペットボトルを100%リサイクルすること」を実現したいと考えていました。
そのため、回収や製造の過程でほかの場所で集めたペットボトルが混ざらないようにすることにはとても苦労しました。
そこで、いろいろな種類の飲み物をつくっている日本コカ・コーラ様や、回収したペットボトルを再資源化する会社にも協力をお願いして、ほかのペットボトルの材料が混ざらないように工夫しました。(石橋さん)

「一(はじめ)緑茶 一日一本」は、専用の製造ラインで生産されている。【写真提供:日本コカ・コーラ株式会社】
このほかにも、ペットボトル回収機を設置するお店やそれを回収する業者など、それぞれが協力し合うことで、完全循環型ペットボトルの取り組みが実現できているのです。(石橋さん)
わたしたち消費者の行動があってこそ
そして何より、完全循環型のペットボトルは、わたしたち消費者の力なくしては実現できません。使い終わったペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせるためには、持ち込むペットボトルにも気をつけることがあるからです。
回収機は、ペットボトルにラベルやキャップがついていたり、汚れていたりすると回収ができません。ごみがついていたり、汚れていたりするペットボトルは、飲み物を入れる材料としては再利用が難しいです。ですから、ペットボトルを回収機に持ってきてもらう前に、ラベルやキャップを外して、中をきれいに洗ってもらう必要があります。
きれいにしたペットボトルを店頭に持ち込み、回収機に入れる。そういうみなさん一つひとつの行動が、完全循環型ペットボトルをつくり、資源を循環させることにつながっているのです。(石橋さん)

わたしたち一人ひとりの行動が、循環型の社会をつくることにつながっています。
衣料や包装容器も、お店で回収したペットボトルからつくる
セブン&アイ・ホールディングスでは、2024年、全国の4,683のお店で、お客様と一緒に約5億5000万本相当のペットボトルを回収しました。これは国内で販売されているペットボトルの2%にあたります。
ペットボトルを資源として使い、循環型の社会を実現することは、環境にやさしく持続可能な社会の実現につながる大切な取り組みです。

セブンーイレブンやイトーヨーカドーの店頭にあるペットボトル回収機。
そして、セブン&アイ・ホールディングスでは、回収したペットボトルで、新しい商品づくりにも取り組んでいます。
たとえば、回収したペットボトルからつくった糸を一部に使った衣服の開発、食べ物などのパッケージや容器などにも、回収したペットボトルが材料に使われています。
みなさんがお店に持ってきてくれたペットボトルを、飲料や衣類、食べ物のパッケージのように身近な商品に生まれ変わらせて、再びみなさんの手元に届ける。そして、そうした商品を手に取ったみなさん自身が、環境の問題やごみの問題について考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。(石橋さん)


回収したペットボトルをつかってつくられた食べ物や洗剤の包装パッケージ。 ※2019年撮影
大勢の人が毎日利用するコンビニやスーパーが社会のためにできること
コンビニやスーパーなど「お店でものを売る」会社が、自ら環境のことを考えた商品をつくり、積極的に店で売るようにしているのは、なぜでしょうか。
セブン&アイグループの日本国内のお店は、1日に2,200万人以上ものお客様が利用しています。
これらの店では、ペットボトルの飲み物をはじめ、さまざまなプラスチック製品をたくさん売っています。たくさんのプラスチック製品を販売する企業の「社会に対する責任」として、これからは利便性や利益だけではなく、環境の問題や持続可能な社会づくりにも取り組んでいかなくてはいけません。
消費者とつながるコンビニやスーパーを運営する企業だからこそ、環境に配慮した商品づくりに積極的に取り組み、直接お客様に届けたいと考えているのです。(石橋さん)

SDGsアクションコーナー
ここまでの文章を読んで、以下の問いについて調べたり、考えたりしてみよう。
①わたしたちが消費する商品や製品がどこで作られ、どうやってお店まで運ばれ、わたしたちの元まで届いているか、考えてみよう。
②環境や人権に配慮した製品を示すマークにはどんなものがあるか調べてみよう。

※例えば、セブンプレミアムで使用されるペットボトルの一部には、右のような表記やマークがあります。
③コンビニやスーパーに行って、環境や人にやさしい商品を探してみよう。
▶まめちしきストア
≫コンビニのお弁当で「サプライチェーン」を
考えてみよう。
≫資源を守る「持続可能な調達」ってなに?
買い物が、未来の社会を考えるきっかけに
コンビニやスーパーには、食べるもの、着るもの、暮らしに関わるすべての商品があります。お店に行ったときには、ここで紹介した商品のように、環境や社会のことを考えた商品をさがしてみてください。そして、モノを買うとき、使うときには、環境や社会のことを考えた商品を選ぶようにしてみてください。
(石橋さん)

ペットボトルを原料の一部に使った衣料品も環境のことを考えてつくられた商品の一つ。 ※2019年撮影
それは、目標12のもう一つの責任「つかう責任」にもつながる、みなさんにも参加できる、SDGs達成への行動です。そうした一人ひとりの行動の積み重ねが、持続可能な社会づくりにきっとつながります。
セブン&アイグループの商品が、みなさんの責任を果たすきっかけにしてもらえたら、うれしいですね。(石橋さん)
わたしたちの毎日の暮らしを支えてくれるコンビニやスーパー。そこで、環境や持続可能な社会のことを考えてつくられた商品を見つけるたびに、自分たちの暮らしのあり方を考えるきっかけにできそうです。
原稿作成:株式会社 日経BP
もっと学びたい人へ
セブンプレミアムの環境への取組み
「GREEN CHALLENGE 2050」