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二に酸さん化か炭たん素そを減へらしてクリーンな空の旅を~JALグループのSAF(持続可能な航こう空くう燃ねん料りょう)への挑ちょう戦せん~

日本航こう空くう株かぶ式しき会社

13.気候変動に具体的な対策を

※映えい像ぞう内で紹しょう介かいされている「バイオジェット燃料」は2019年当時のものであり、現げん在ざいは「SAF(持続可能な航空燃料)」に変わっています。

地球温おん暖だん化かの原げん因いんの一つ、二酸化炭素。二酸化炭素を出す量を減らし、地球温暖化を止めることは、世界のあらゆる分野で今すぐに取り組まなければならない課題です。
この課題の解かい決けつに向けて、航空会社も新しい取り組みを始めています。
航空会社の二酸化炭素を減らす取り組みについて、日本航空株式会社の平野さんに教えてもらいました。

日本航空株式会社 ESG推進部 GX企画グループマネジャー(当時) 平野佳けいさん

世界の航こう空くう会社が協力して挑いどむ二に酸さん化か炭たん素その削さく減げん

たくさんの人やモノを乗せて、世界中を飛ぶ飛行機。飛行機によって、わたしたちは行きたいところに時間をかけずに移い動どうできるようになりました。
周りを海に囲かこまれている日本に暮くらすわたしたちにとって、飛行機は世界を身近に感じさせてくれる大切な乗り物です。

一方で、飛行機は飛ぶ力を作り出すために、石油からつくられるジェット燃ねん料りょうを大量に使い、たくさんの二酸化炭素を発生させてしまいます。

航空業界が出している二酸化炭素の量は、世界全体のおよそ2%。地球温おん暖だん化かが進む中で、決して無む視しできるものではありません。そのため、日本を含ふくめた世界中の航空会社は、ルールをみんなで決めて、二酸化炭素の量を減らすための具体的な取り組みを行っています。(平野さん)。

燃料を化石燃料に頼っている航空業界は、環かん境きょうへの影えい響きょうを少なくする方法を考え続ける必要があります。

JALグループが1年間に出す二酸化炭素の量は約909万トン(2019年度)。このうち、99%以上が飛行機を飛ばすことに関わっています。

航空業界ではこれまで、使う燃料を少しでも減らすことで、二酸化炭素の削減をしてきましたが、今後、一いっ層そうの削減を進めていくためには、燃料の「質しつ」も変えていかなければなりません。そこで、JALグループが取り組んでいるのが「SAF(持続可能な航こう空くう燃ねん料りょう)」への挑ちょう戦せんです。(平野さん)

二に酸さん化か炭たん素そを大おお幅はばに減らす「SAF(持続可能な航こう空くう燃ねん料りょう)」

SAF(持続可能な航こう空くう燃ねん料りょう)は、これまでごみとして捨すてられていたものなどを原料にしてつくる新しい燃料のこと。

SAFは、家庭ごみなど都市から出るごみや木材、とうもろこしなどの農作物の食べられない・家か畜ちくの飼し料りょうにできない部分、使し用よう済ずみの食用油、藻そう類るいなどが主な原料となります。

SAFと現げん在ざいのジェット燃料(化石燃料)の一番の違ちがいは原料です。ジェット燃料は、地下に眠ねむっている原油を掘ほり出だしてつくっていますが、SAFは、原料にごみなどの資し源げんを再さい利り用ようしたものや、成長するときに二酸化炭素を吸きゅう収しゅうする植物などを使用しています。(平野さん)

SAFの主な原料は都市ごみや植物など、すでに地表にあるもの。

SAFは、飛行機の二酸化炭素を減らすのにどのように役立っているのでしょうか。

現在のジェット燃料は、原料となる原油を掘り出すときに、地下に閉とじ込こめられていた炭素を地表に出してしまい、大気中で酸素と結びついて二酸化炭素を増やしてしまいます。しかし、すでに地表にあるごみなどの資源を原料にすれば、こうした問題が起こらず、大気中の二酸化炭素を増やすことはありません。
(平野さん)。

地中に閉じ込められていた炭素が地表に出ることで、大気中で酸素と結びつき二酸化炭素の量が増ふえることに

また、植物を原料にしたSAFの場合、燃料を燃もやしたときに出る二酸化炭素の量は、植物が成長するときに吸収したものと同じ量であるので、大気中の二酸化炭素が新たに増えることはありません。
こうした理由から、SAFは、原油からつくる燃料に比くらべて二酸化炭素の排はい出しゅつ量りょうを5~8割わりほど減らせるのです。(平野さん)

SAF(持続可能な航こう空くう燃ねん料りょう)の実用化に向けて

今はまだ、原油からできた燃料にSAFを混まぜて使っているのですが、サンフランシスコから日本への運航では、原油からできた燃料だけで運航する場合と比くらべて、二に酸さん化か炭たん素そをおよそ25%減らすことができました。(平野さん)

JALでは、2009年にアジアで初めてSAFによる試験飛行、2017年にはシカゴから日本、2019年にはサンフランシスコから日本に、乗客を乗せてSAFによる運うん航こうを行いました。そして、2019年に購こう入にゅうした最さい新しん型がたの飛行機は、工場のあるフランスから日本へ運ぶときにSAFを使っています。
こうした実じっ績せきを積み重ねながら、SAFの利用を増やすことに取り組んでいます。

© AIRBUS 2019 - photo by P. MASCLET / master films

SAFは飛行機の出す二酸化炭素を減らすにはとても有ゆう効こうな方法ですが、すべての飛行機が利用できるようになるには課題もあります。

SAFの活用に向けた一番の課題は「SAFを生産するしくみ」です。(平野さん)

SAFはそれをつくるための原料(※都市ごみ,植物など)が足りておらず、また、燃料をつくるために必要な製せい造ぞう工場も不足しているため、十分な量の生産ができていません。
そして、現げん在ざいはSAFを使う航こう空くう会社も限かぎられているため、価か格かくは高くなり、原油からつくる燃料に比べて、SAFは3~4倍の価格になってしまっています。

お札のイラスト①.png

SAFが広く使用されるためには、生産量を増ふやし、それを使う航空会社が増ふえることで価格が下がり、SAFを買いやすくする仕組みが重要です。
JALグループでは、SAFの安定的な生産をするために、SAFの製造会社を支し援えんして、燃料の生産体たい制せいづくりにも取り組んでいます。(平野さん)

また、SAFを日本で製造するプロジェクトもスタートしています。

JALグループが使う燃料のおよそ7割わりは、日本の空港で飛行機に給油しています。SAFを海外からの輸ゆ入にゅうに頼たよってしまうと、燃料を輸ゆ送そうするのに二に酸さん化か炭たん素そが出てしまうことになりますから、さらに環かん境きょうへの負ふ荷かを減へらすためにも、日本で燃料をつくり、日本で利用できる体たい制せいをつくる必要があります。(平野さん)

2025年には大阪府堺さかい市に国産SAFを製造するプラントが完成し、国産SAFの製造と航空会社への供きょう給きゅうが開始されました。

わたしたちはSAFを使う立場の航こう空くう会社として、このプロジェクトをリードする責せき任にんがあると考えています。
将しょう来らい、みなさんが飛行機に乗るときは、すべてのフライトにSAFが少しずつでも使われているようにするのが目標です。(平野さん)

環かん境きょうへのさまざまな取り組み

JALグループでは、SAFの活用以外にも、二に酸さん化か炭たん素そを減へらすためのさまざまな取り組みを行っています。

飛行機も自動車と同じように、運うん航こうの仕方で二酸化炭素の量が変わってきます。安全を第一に、離り陸りくや着陸、飛行中に、できるだけ燃ねん費ぴがよくなる方法を工夫することも、二酸化炭素を減へらす取り組みの一つです。(平野さん)

このほかにも、性せい能のうのよい新しい機体に変えていくこと、地上を移い動どうするときにはエンジンを一つ止めること、エンジンをきれいに洗あらうこと、飛行中に窓まどの日よけを下ろして機内のエアコン利用を減らすことなど、いろいろな工夫をして、二酸化炭素を減へらしています。

自然や社会と共生する航こう空くう会社を目指して

飛行機は、わたしたちを短い時間で遠く離はなれたところへと運んでくれて、わたしたちの世界を広げてくれる大切な乗り物です。そのため、利用するときにはできるだけ環境に負ふ担たんをかけないようにすることが必要です。

世界とつながり、たくさんの人や文化に出会い、さまざまな意見や考えに触ふれることは、これから生きていくためにもとても大切なことだと思います。
飛行機は、みなさんがそうした経けい験けんや体験をしたいと思ったときに、きっと役に立つことができる乗り物です。

ですから、「どうすれば、環境に負担をかけない方法で、飛行機を利用できるのか」をわたしたちはいつも考えています。

みなさんも毎日の生活で「環境のために何ができるのか」を一いっ緒しょに考えてもらえたらと思います。(平野さん)

二に酸さん化か炭たん素そを減へらし、自然や社会と共に生きる航こう空くう会社へ。豊ゆたかな地球を未来に引ひき継つぐための挑ちょう戦せんが始まっています。


原稿作成:株式会社 日経BP


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