持続可能な未来を支える再生可能エネルギー
いちごECOエナジー株式会社
地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を出さず、地球のどこでも手に入れることができるクリーンなエネルギーは持続可能な未来にとって欠かせません。
全国に太陽光発電所や風力発電所をつくり、クリーンな再生可能エネルギーをわたしたちに届けているいちごECOエナジー株式会社の五島英一郎さんに、太陽光発電への取り組みについて教えてもらいました。

いちごECOエナジー株式会社 代表取締役社長 五島英一郎さん
持続可能な再生可能エネルギー
わたしたちはこれまで、石油や石炭、天然ガスなどの「化石燃料」を燃やしてつくったエネルギーで暮らしてきました。しかし、地球にある化石燃料には限りがあり、採れる場所も限られています。そして、化石燃料は燃やすときに地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を出すことが地球環境にとって大きな問題です。
再生可能エネルギーは、太陽の光や風の力、川の水など、無くなる心配がほとんど無い自然の力を利用してつくることができる、半永久的なエネルギーです。また、つくるときに二酸化炭素などの地球温暖化の原因となる物質が少なくクリーンなエネルギーで、地球規模の環境問題の解決にも役立つことができます。(五島さん)

持続可能でクリーンなエネルギーの普及は地球温暖化を防ぐためにも欠かせない。
だれもが安心して、そして、クリーンなエネルギーを利用することができることは、持続可能な社会にとっては欠かせないことの一つです。
日本でも再生可能エネルギーの割合は年々増えていて、2023年度は26.0%。(資源エネルギー庁調べ)。なかでも太陽光発電の割合が大幅に伸びていて、再生可能エネルギーの半分弱にあたる11.3%を占めています。

日本の電源構成(2023年)。(出典:「電力調査統計」資源エネルギー庁などより)
太陽のエネルギーを電気に変える太陽光発電
いちごECOエナジーがつくる再生可能エネルギーの一つ、太陽光発電は、ソーラーパネルを使って太陽のエネルギーを電気に変えるものです。
太陽光発電は、ソーラーパネルを太陽の光に当てるだけですぐに発電できます。みなさんも、住宅の屋根の上にソーラーパネルを設置している家や、学校の中にソーラーパネルが設置されているのを見たことがあると思います。
太陽の光がある場所であれば、どこでも、すぐにでも発電できるのは、ほかの再生可能エネルギーにはない特徴です。しかし、天気によっては発電量が減ってしまう、夜間は発電ができないというデメリットもあります。(五島さん)
ほかの再生可能エネルギーと比べると設置にかかる費用も安く、すぐに設置できるのは、太陽光発電の特徴です。
太陽光発電の技術は年々進化していて、2010年頃に比べると、1枚のパネルからつくることのできる電力は、約1.5倍に増えています。そして、太陽光で発電した電力をためる「蓄電」技術がもっと進化していけば、ますます太陽光発電が使いやすくなっていくと思います。(五島さん)
使われていなかった土地が電気を生み出す土地に
太陽の光があればどこでもできる太陽光発電の特徴を生かせば、使われなくなった土地や放置されてしまった土地を、電気を生み出す土地に生まれ変わらせることができます。
わたしたちは、使われなくなった土地や放置されてしまった土地を使って、「メガソーラー」という大規模な太陽光発電所をつくり、発電しています。
全国に64か所の太陽光や風力発電所を持っていて、そこで発電している電気は全部で約200メガワット分。これは約5万3,000世帯の家庭の電力をカバーできる量です。
また、このほかにグリーンバイオマス発電も計画しています。(五島さん)
(※2025年2月末時点)

全国にあるいちごECO発電所。
昔は農業用に使われていたのに、何十年も放置されて使われる予定のない畑や田んぼ、工場の跡地で農業や住居にできずに放置されている土地、ゴルフ場やリゾート開発が途中で終わってしまった場所、採石場や牧場、ため池など、だれにも管理されずに放置されている土地が日本にはたくさんあります。
このような土地は、荒れたまま放っておかれていることがほとんどです。わたしたちは、そういう土地の持ち主や地元の自治体と交渉をして、土地の利用料を支払って太陽光発電の場所として使わせてもらっています。(五島さん)

管理されず使われずにいた開発前の土地。

太陽光パネルを並べて、電気を生み出す土地に。
地域の人と一緒につくる再生可能エネルギー

太陽光発電でたくさんの人の暮らしを支える電気をつくることができる「メガソーラー」ですが、そのためには、その土地がある地域の人たちとの協力が欠かせません。
発電所はソーラーパネルの寿命である約30年、発電し続けます。長期間にわたる事業なので、周辺の自治体や住民の方々の理解を得て、協力し合うことが欠かせません。
ですから、発電所をつくるときには、地域の方にしっかりと事前に説明をするのはもちろん、周辺の自然環境にも配慮しながらつくるように心がけています。(五島さん)

使われなくなった農業用のため池を利用してつくった太陽光発電施設。(岡山県笠岡市)
太陽光発電所をつくる土地を貸し出して得られる収入を子どもたちの保育料の一部として使う地域や、発電所でつくった電気を蓄電池に蓄えて、災害時の非常用電源として活用する地域もあります。
また、発電所ができたあとの維持や管理の仕事を、地域の業者に依頼することで、その地域には新しい仕事も生まれています。
太陽光発電所は、地域の方の資産である土地をお借りして電気をつくるものです。ですから、太陽光発電で自然をお借りした分、使った分を地域のみなさんにお返ししていくことが持続可能な事業のあり方だと考えています。(五島さん)

太陽光発電でつくった電気を災害時に使える急速充電施設。(岡山県笠岡市)
エネルギーの自給自足をめざして
日本の発電のおよそ7割は石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料でつくられていますが、その資源のほとんどを輸入に頼っています。これからもいつでも安心してエネルギーを得られるようにするためには、輸入に頼りすぎている状況を見直していかなければなりません。
どれか一つのエネルギーにかたよるのではなく、さまざまなエネルギーを組み合わせたエネルギーミックスを進めていくことは、わたしたちが毎日、電気を安心して使うためにとても大切です。 そして、環境にやさしいエネルギーに切り替えていくことも地球規模の環境問題を考えればもっと重要です。
日本では、2030年までに再生可能なエネルギーの割合を36~38%まで増やすことを目標にしていますので、わたしたちもその実現にむけて、クリーンな太陽光エネルギーをたくさんの人に届けたいと考えています。(五島さん)
再生可能エネルギーの元となる太陽の光や風、川の水、森林や地中の熱はすべて国内にある資源です。さらに、環境にもやさしいエネルギーを増やしていくことは、石炭や石油、天然ガスなど、エネルギー資源が少ない日本にとって、エネルギー自給率を高めるためにも大切です。

日本では、2030年度には再生可能エネルギーの割合を増やすことを目標にしている。
(資源エネルギー庁のデータをもとに作成)
自分の家で使う電気の種類や量を知ることからはじめよう
使われることなく放置されてしまった土地を有効に活用して、クリーンで環境にやさしいエネルギーを社会に届けるのが、わたしたちの役割です。
みなさんには、自分たちが使うエネルギーが環境にどんな影響を与えているのか、地球のためにどんなエネルギーを使うようにしたらいいのかを、ぜひ考えてもらいたいですね。
もちろん、ほかの資源と同じで、電気をムダにしないことも大切です。
まずは、自分の家でどんな電気を毎月どれくらい使っているのか、チェックしてみてください。そこから、地球の未来のために、今の自分にできることのヒントが見つかるかもしれません。(五島さん)

原稿作成:株式会社 日経BP