「グリーンなお金の流れ」で持続可能な社会をつくる
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
気候変動,地球温暖化は地球に暮らすわたしたちにとって大きな問題で,今すぐに具体的な対策を行わなければなりません。この地球規模の課題を解決するために,多くの人たちがさまざまな取り組みを行っていますが,銀行もその解決に向けて取り組んでいます。「お金」をあつかう銀行が,どのようにして気候変動の解決に取り組んでいるのでしょうか。
三井住友銀行で再生可能エネルギープロジェクトを担当している木瀨恵子さんに聞いてみました。
銀行 = 社会にお金を送り出す「心臓」
お金を預ける,預けたお金を引き出す,車や家などの大きな買い物をするときにお金を借りる。わたしたちの暮らしのさまざまな場面で必要な「お金」をあつかう銀行ですが,社会にとっても大切な働きをしています。
社会全体を人のカラダに例えると,お金は「血液」で銀行は「心臓」の働きをしています。心臓は,カラダの隅々まで必要な血液を送り届ける働きをしていますよね。つまり,社会の必要なところにお金を届ける働きをしているのが「銀行」なのです。
銀行には,「預金」「貸出」「為替」の3つの仕事があります。「預金」は,みなさんからお金を預かること。みなさんのお小遣いを預かるのも預金です。「貸出」は,個人や会社がお金を必要としたときに,みなさんから預かった預金をもとにお金を貸し出すこと。「為替」は,実際にお金を持っていくことなく,遠くはなれた人にお金を送ることをいいます(木瀨さん)
銀行の三大業務
- 預金...お金を預かる
- 貸出...お金を貸し出す
- 為替...遠くはなれた人にお金を送る
お金がより良いことに使われるように
例えば,お菓子会社が新しいお菓子をつくりたいと思ったとしましょう。
新しいお菓子をつくるためには,新しい機械が必要ですがその値段は高く,持っているお金だけでは買えません。そこで,お菓子会社は銀行に「機械を買うお金を貸してほしい」と,申し込みを行ったとします。
そのとき銀行は「そのお菓子はどのようなものか」「必要としている人はいるのか」「つくったお菓子はきちんと売れるのか」「貸したお金を返すことができるのか」などを細かくチェックしてお金を貸します。そして,お金を貸した後も,新しいお菓子がもっと売れる商品になるようにはどうすれば良いのかアドバイスをして,会社の成長をサポートしていきます。(木瀨さん)
つまり銀行は,みなさんから預かったお金を,それを必要としているところに振り分ける,そして,振り分けたお金が正しく使われるようにアドバイスをしていく,「お金の流れを調整する」役割があるのです。(木瀨さん)
再生可能エネルギープロジェクトにお金を貸し出す
では,「お金の流れを調整する」銀行が,気候変動の解決のためにどのようなことを行っているのでしょうか。
三井住友銀行では,みなさんから預かったお金を,太陽光や風力など,環境にやさしい再生可能エネルギーをつくるプロジェクトに貸し出して,その実現と成長をサポートしています。(木瀨さん)
自然の力を利用する再生可能エネルギーは,地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーです。こうしたエネルギーが増えて普及していくことは,地球温暖化を防ぐことにつながりますが,その実現には,とてもたくさんのお金が必要です。
例えば,風力発電で考えてみると,風車を建設して電気をつくり,送り届けるのはとても大がかりなプロジェクトです。風車を製造する会社,建設する会社,つくった電気を売る会社,修理や管理をする会社など,プロジェクトを進めていくためには多くの会社の協力が必要です。また,一つのプロジェクトには20年ほどかかることもあります。プロジェクトを実行し,再生可能エネルギーをつくり,みなさんのもとに届けるためには,とても多くのお金が必要になります。
そこで,銀行がそのプロジェクトに必要なお金を貸し出して,風力発電事業の実現と成長をサポートしているのです。(木瀨さん)
お金を貸して終わりではない
風力発電プロジェクトにお金を貸し出す前に,銀行は,とてもたくさんのことをチェックします。
例えば,環境への影響はどうなっているのか,騒音が発生しないか,海の魚や渡り鳥に悪影響がないかなどは,大切なチェックポイントです。いくら二酸化炭素を出さない発電方法だからといって,それ以外の自然環境や,周りに暮らす人たちの生活を犠牲にして良いわけではありませんよね。ほかにも,自然災害が起きたときにはどうするのか,法律が変わったらどうするのかなど,あらゆる面からチェックを行います。(木瀨さん)
また,それ以外にも,「実際に建設するのにどれくらいのお金がかかるのか」「風力発電所ができてから,運営にどれくらいお金がかかるのか」「つくった電気をきちんと販売して利益を出せるのか」「借りたお金はどういう予定で返すのか」など,事業の計画もチェックします。この計画がしっかりしていないとプロジェクトがうまくいかず,せっかくつくった電気を,持続可能なエネルギーとして使い続けることが難しくなってしまいます。(木瀨さん)
「グリーンなお金の流れ」で持続可能な社会をつくる
このように,銀行はクリーンなエネルギーが社会に増えることを「お金」を通してサポートしています。
目標13を達成するためには,わたしたちが排出する二酸化炭素の量を,地球が吸収できる量よりも減らしていかなくてはなりません。
地球温暖化を防ぐための取り組みや,環境に良いことにお金が使われるように銀行が中心になって「グリーンなお金の流れ」をつくる,それが目標13の達成に向けて銀行が果たす大切な役割なのです。(木瀨さん)
お金には,未来をつくる力があります。社会のどのようなことにお金を振り分けていくかによって,わたしたちの未来のあり方が変わっていきます。銀行は,社会をより良くする会社やプロジェクトにお金を振り分け,持続可能な社会をつくっていきたいと思っています。
みなさんも,お金を使うときには,それが身の回りの暮らしを良くしたり,環境にとって良いことにつながっているのか,どのようにお金を使えば,社会をより良くすることができるのか,ぜひ考えてみてください。(木瀨さん)
コラム
子どものうちから,お金と上手に付き合う!
お金はわたしたちが人生でやりたいことを実現するのに欠かせないものです。それだけに,子どものうちから,お金との付き合い方を知っておきたいですね。特に,これからは,お金を直接やり取りしない「キャッシュレス」の時代。より計画的にお金を貯める・使うことが大切になってきます。お小遣いを使うお金,貯めるお金に分けるなど,お金との付き合い方を考えてみてください。
原稿作成:株式会社 日経BP