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世界中にクリーンなクルマを

13.気候変動に具体的な対策を

行きたいところ、とどけたいところへ、人や物を自由に運んでくれるクルマ。

わたしたちのかいてきゆたかならしに欠かせないクルマですが、走るときやつくるとき、そして、てられるときに、地球おんだんげんいんとなるさんたんを発生しています。

クルマのさんたんらすために、自動車会社も取り組みを続けています。トヨタ自動車の取り組みから、クルマとさんたんについて考えてみましょう。

クルマとさんたん

トヨタ自動車ではさんたんらして、持続のうな未来をじつげんするため、さまざまなクルマを開発しています。そんな、クリーンなクルマについて、トヨタ自動車の井戸だいすけさん、とう直昭さんに教えていただきました。

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トヨタ自動車かぶしき会社 トヨタZEVファクトリー車両企画グループ 主査(取材当時)
井戸大介さん

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トヨタ自動車かぶしき会社 GAZOO Racing Company/水素エンジンプロジェクト統括 主査
伊東直昭さん

今、道路を走っている多くのクルマは「ガソリン車」です。 ガソリン車は、ねんりようであるガソリンを「やす」ことで、エンジンを動かして走りますが、このとき、クルマから大気中に出されるはいガスの中にさんたんふくまれています。

みなさんは、クルマが出すさんたんといえば、走るときに出されるものをおもかべる人が多いかもしれませんが、クルマは工場でつくられるとき、そして使われなくなっててられるときにもさんたんが発生します。

ですから「クルマのさんたんらす」ことを考えるときには、走るときのさんたんらすことはもちろん、つくるときやてるときに発生するさんたんらすことも考えなければなりません。(井戸さん)

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「運輸部門における二酸化炭素排出量(国土交通省)」より作成

さんたんらすクルマづくり

トヨタ自動車では、走るときのさんたんの発生をらすために、これまでにさまざまなタイプのクルマを開発してきました。 エンジンとモーターの両方で走るハイブリッド車(HEV:エイチイーブイ)、HEVにじゆうでんのうを加え、モーターでの走行きよばしたプラグインハイブリッド車(PHEV:ピーエイチイーブイ)などは、日本や世界でも見かけることがえていますが、今、世界中で注目されているのが電気だけで走る電気自動車(BEV:バッテリーイーブイ)です。

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トヨタ自動車のBEV

クルマを動かすねんりようにガソリンを使わず、電気だけで走るのがBEVです。そのため、BEVは走っているときにさんたんいつさい出ません。かんきようのことを考えたクリーンなクルマとして大きな注目を集めており、世界中の国で開発やきゆうが進んでいます。 (井戸さん)

乗り方に合わせてBEVを選べる時代へ

BEVに乗る人がえている中、トヨタ自動車では、2030年までに世界で30車種、年間350万台のBEVを発売することを計画しています。

今、ガソリンで走っているクルマは、小さいもの、スポーツタイプ、大きなものまで、目的や乗る人数に合わせて、いろいろな種類のクルマを選べますよね。BEVもそれと同じように、どのような目的でクルマを使うのか、それに合わせて必要なクルマを選べるように、種類をそろえていきたいと考えています。

走るときにさんたんを出さないというだけでなく、しんどうをまったく感じないほどのなめらかなごこきよによってはガソリンよりも安く乗ることができるのもBEVがガソリン車とくらべてすぐれているところです。(井戸さん)


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目的や乗り方に合わせてたくさんの種類の電気自動車(BEV)を開発

大切なのは電気のつくり方

クルマから出るさんたんらすため、世界中の国が、電気自動車(BEV)の開発ときゆうに取り組んでいますが、それだけで問題をかいけつできるのでしょうか?

走るときにさんたんを出さないBEV も、クルマをつくるときや、じゆうでん用の電池をつくるときにさんたんが発生していることに変わりはありません。

そして、わすれてはいけないのはBEVのエネルギーは「電気」だということです。

例えば、BEVを走らせるときに使う電気が、石炭や石油など、化石ねんりようやしてつくられている電気だとしたら、どうでしょうか? また、げんざい走っているクルマのすべてがBEV に代わったら、その電気をどのようにつくればよいのでしょうか?

地球おんだんへのたいさくとしてBEV のきゆうを目指すのであれば、それを走らせるための電気も、クリーンなさいせいのうエネルギーでなければ、社会全体でみたときに、さんたんえてしまうことにつながってしまうのうせいがあります。

また、気候、地形、道路、インフラなどの理由で、電気自動車のきゆうに時間がかかったり、せんたくすることがむずかしい国やいきがあることも考えていかなければなりません。(井戸さん)

ガソリンでも電気でもないエネルギー「すい

クリーンなクルマのせんたくは、電気で走るクルマだけではありません。トヨタ自動車では、ガソリンでも電気でもないエネルギー、「すい」で走るクルマの開発にも取り組んでいます。

すいやしても発生するのは水だけ。さんたんを出さないクリーンなエネルギーとして注目されています。すいで走るクルマをだれでも手に入れられるようになれば、日本のようにさいせいのうエネルギーをつくることがむずかしいいきでも、クルマのさんたんらすことができます。(とうさん)

すいを使って走るクルマには2つの種類があります。
ひとつは、すいをクルマの中で電気にへんかんし、モーターを動かして走るねんりょう電池車(FCEV:エフシーイーブイ)です。トヨタ自動車では「MIRAI」という名のFCEVを2014年からはんばいしています。

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トヨタ自動車のFCEV「MIRAI」

そして、今、トヨタ自動車が研究と開発を進めているのが、すいを使って走るもう一つのクルマ、「すいエンジン車」です。

すいエンジン車のしくみは、ガソリン車とほとんど同じです。ガソリンの代わりにすいやして、そのときに発生する力でエンジンを動かして走ります。すいエンジン車は、ガソリン車のしくみをほとんど使えるため、工場でのせいぞう方法を大きく変える必要が無く、これまでのクルマの良いところを使えるというメリットがあります。

今、トヨタ自動車では、すいエンジン車で、レースにちようせんしています。つうの道路で走るよりもはるかにきびしいじようけんで、すいエンジン車を走らせることで、さまざまなデータを集め、近いしようらいいつぱんのクルマとしてはんばいすることを目指して改良を進めています。(とうさん)

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クリーンなクルマに多様なせんたく

すいは、まだ電気と同じようにあんで大量につくることはできず、だれもが使えるエネルギーではありません。しかし、じゆつかくしんが進めば、電気に代わるエネルギーとして、さんたんさくげんへのこうけんが期待できます。

さんたんらすための取り組みは、今すぐ取り組まなければならない課題ですが、国やいきによってできるたいさくことなるため、せいかいは一つではありません。

BEVも、クルマのさんたんらすために必要な答えの一つですが、日本のようなさいせいのうエネルギーの生産にてきしていないいき、BEV に必要なせつをつくることがむずかしいいきばくや寒冷地など、そもそもBEV が向いていないいきなどもあり、それぞれのいきに合わせたクリーンなクルマが求められます。

トヨタ自動車は、世界中のあらゆるいきでクルマをはんばいしている会社です。ですから、あらゆる国やいきらす人たちが、その人たちに合ったクリーンなクルマをせんたくできるように、多様なクルマの開発に取り組んでいきたいと考えています。(とうさん)

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すでに多数販売されているハイブリッド車から、現在開発を進めている水素エンジン車まで様々な選択肢を用意して、世界中のあらゆる地域にクリーンなクルマを届けていく。

地球の未来をつくる子どもたちへのメッセージ

最後に、井戸さん、とうさんから、持続のうな社会をつくるになとなる、みなさんへのメッセージをもらいました。

クルマで出かけることが楽しくてゆたかな生活。そんな未来のためにクルマづくりに取り組んでいます。みなさんも、毎日のらしの中で、好きなコトや楽しいコトがみつかったら、それをとことんきつめてしいと思います。好きなコトや楽しいコトは、必ず世界とつながっていて、たくさんの仲間と出会うきっかけになりますから。
そうしてきつめたコトが、わたしたちのクルマづくりとつながっていたら、ぜひいつしよに持続のうな社会にとって必要なクルマを考えていきましょう。(井戸さん)

わたしたちは、かんきようの課題にたいおうするだけでなく、せいあふれる楽しいクルマを未来に残していけるよう、新しいじゆつを開発しています。みなさんも、大人になったらたくさんクルマにれて乗ってみてください。そしてクルマが好きになったら、また次の時代に向けてクルマの未来を考えてくれるとうれしいです。(とうさん)


原稿作成:東京書籍株式会社


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