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プラスチックごみの問題に取り組み、みんなが考えるきっかけに~「キットカット」の外ぶくろをプラスチックから紙に~

ネスレ日本かぶしき会社

12.つくる責任 つかう責任

洋服やペットボトル、おべんとうや食品のようなど、わたしたちの身の回りのさまざまなものに使われているプラスチック。しかし、今、そのプラスチックがごみとなることで大きな問題を引き起こしています。
この問題のかいけつに、食品や飲料を世界中ではんばいする会社も行動を始めています。「キットカット」や「ネスカフェ」などをせいぞうして販売している、ネスレ日本の佐藤さんにその取り組みを聞きました。

nestle2022_sato-san.pngネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業本部 佐藤 由樹さん

しんこくなプラスチックごみ問題

じょうぶで空気や熱も通しにくく、いろいろな形に加工できるなど、プラスチックはそののうせいしつから、身の回りのさまざまなものに使われていて、わたしたちがつくる「キットカット」のほうそうもその一つです。
しかし、一方で、プラスチックはその多くが使つかてにされていて、ごみとしててられると自然にぶんかいされることがほとんどなく、そのかいしゅうしょむずかしいものになってしまいます。(佐藤さん)

最近、特に問題となっているのが、海のプラスチックごみです。ごみとして捨てられたプラスチックが最後に行きつくのは海。世界中の海には、毎年1,400万トンものプラスチックごみが新たにながんでいるとすいていされています。このままのじょうきょうが続けば、2050年には海にいる魚の重さよりもプラスチックごみの方が多くなると言われています。

pla-skytree_2023.png

世界の海に流れ込む海洋プラスチックごみは、毎年、少なくともスカイツリー390分に相当しています

また、捨てられたプラスチックは、波の力やがいせんえいきょうで細かくなり、5mm以下の「マイクロプラスチック」となって世界中の海にそんざいしていて、こうしたマイクロプラスチックが海の生き物たちの体から見つかっています。そして、それらの生き物を食べているわたしたちの体にもちくせきしていると言われています。

マイクロプラスチックは海のせいたいけいまれて、わたしたちの体にも蓄積しています

ネスレは、世界中で食品や飲料をせいぞうはんばいしている会社として、この問題に取り組むせきにんがあります。
そこで、2025年までに、全世界でつくる製品のほうそうを95%以上リサイクルのうせっけいに変えて、プラスチックごみをらしていくことを決めました。
(佐藤さん)

プラスチックごみさくげんへの取り組み

ネスレでは、世界中でプラスチックごみの問題に対する取り組みを始めていますが、日本では、2019年から「キットカット」の外ぶくろをプラスチックから紙にする取り組みを始めています。(佐藤さん)

日本で1年間にてられるプラスチックごみは約769万トン。そのうち、約半分が、レジ袋や食品トレー、ストローなど、一度利用されただけで捨てられてしまうことが多い「よう・包装」で使われているものです。ですから、プラスチックごみをらしていくために、包装で使われるプラスチックを減らしていくことは、大きなこうのある取り組みです。

日本で捨てられているプラスチックごみのうちわけ
【2023年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(プラスチック循環利用協会) より作成】

「キットカット」は世界80か国以上で発売されているチョコレートで、日本は世界でもトップクラスの売り上げをほこっています。ですから、プラスチックごみ問題への取り組みを考えたとき、「キットカット」で使われているプラスチックを減らすことが、わたしたちネスレ日本がそっせんして取り組むことであると考えました。(佐藤さん)

すぐにできることからから取り組む

プラスチックごみの問題はげんざいも進行している問題です。
ですから、たとえ小さな一歩だとしても、すぐにでもできることから始めることが大切だと佐藤さんは言います。

「キットカット」で使っているプラスチックのほうそうは、チョコレートをちょくせつ包んでいる包装と、それをまとめて入れている外ぶくろがあります。 「キットカット」のおいしさやひんしつを守るために、チョコレートを直接包んでいる個包装をすぐに紙にへんこうすることはげんじつてきではありませんでした。
しかし、べつに包装されたチョコレートを入れている外袋であれば、すぐにでもざいを紙に変えることができます。そこで、まずは外袋を紙にすることから始めることにしました。(佐藤さん)

しかし、プラスチックがもつ、じょうぶでやぶれにくく加工しやすいというとくちょうを、どのようにして紙でじつげんするか、課題はありました。いくらかんきょうに良いからと言って素材を変えても、外袋がやぶけてしまったり、見た目が良くないものになったりしては、そもそも商品としてのが小さくなってしまいます。

この問題をかいけつするために、工場で包装の機械をつくる会社や紙の印刷をする会社にじゅつめんで協力をしてもらい、2019年9月には「キットカット」の主力5商品の外袋を紙にすることができました。プラスチックから紙に素材を変えようと決めてから、1年弱ほどで実現しました。

2019年当時のパッケージ。

紙の外袋に変更することについては、商品のはんばいたんとうしているえいぎょう部門からは当初「なぜやるのか」といったもんの声もありましたが、世界中で大きな問題になっている社会課題の解決に取り組むことのていねいに説明することで、少しずつしきが変わっていったと言います。

じっさいにプラスチックから紙に変えた新しい外袋ができると、商品を売るお店や、買う人たちから「とてもいい取り組みですね」と言ってもらえました。また、特に子どもやわかい人たちは、環境への関心が強く、紙の外袋に注目してくれているようです。
少しずつではありますが、しょうしゃも「より環境のことを考えた商品」を選ぶように、考え方や行動が変わって来ていることも感じています。(佐藤さん)

みんなで取り組む「だつ」プラスチック

ネスレ日本では、2020年には「キットカット」の大袋製品のほぼすべての外ぶくろをプラスチックから紙に変更し、プラスチック使用りょうらすことができました。しかし、これは、日本でてられているプラスチック全体の量から見れば、まだほんのわずかな量だと佐藤さんは言います。

こうした取り組みを続けていくには、紙でできたせいひんしょうしゃにもっと選ばれる必要があると考えています。そして、かんきょうのことを考えた商品の方が、それ以外のものより選ばれるということがはっきりすれば、ほかの会社ももっと新しいアイデアを出していき、プラスチックを減らすための取り組みが加速していくと思います。

わたしたちの取り組みが、お客様であるみなさんの行動を変えるきっかけになり、ほかのいろいろな会社でも、この問題に取り組もうという動きが広がるきっかけになれば良いと思っています。(佐藤さん)

紙に変えた外袋で「折りづる」をつくって気持ちを伝えあう活動をていあんするなど、ごみのを変えるかいけつさくの提案にも取り組んでいる。

しょうしゃであるわたしたちにできること

SDGsをしきして、ふだんの生活で具体的な行動をしている人は少しずつ増えていますが、地球の未来のためには、もっと多くの人たちが、自分にできることを具体的に行動することが求められています。

わたしたちネスレは、食品や飲料をつくる会社として、おいしくて安全で、そしてかんきょうはいりょした商品をみなさんにとどけるせきにんがあります。そして、みなさんは「消費者」として、商品を買うときに「何を」選ぶかという責任があります。

消費者が、環境を配慮した商品を選ぶことで、社会にはそうした商品がえていくはずです。みなさんの行動には、持続可能な社会のじつげんに向けてとても大きな責任と力があると思います。

紙の外ぶくろの「キットカット」を手に取ってもらって、そういうことを考えるきっかけになってもらえたらうれしいですね。(佐藤さん)

わたしたちのせきにんある行動が、環境のことを考えた商品づくりにつながります。


原稿作成:株式会社 日経BP


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