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いつまでも安心して住み続けられるまちをつくる

積水化学工業かぶしき会社

11.住み続けられるまちづくりを

「住み続けられるまち」って、どんなまち?

わたしたちがらす「まち」。いつまでも安心して住み続けるために、まちづくりにはどのような工夫が必要でしょうか。安心・安全でかんきょうにやさしく、持続のうなまちづくりについて、積水化学工業のとうひろさんが教えてくれました。

積水化学工業株式会社 じゅうたくカンパニー レジデンシャル事業とうかつ部 事業開発部 事業すいしん室 営業グループ
佐藤洋樹さん

積水化学グループでは、埼玉県あさ市にサッカーコート10面分の広さのまちをつくっています。ここには、太陽光パネルを屋根にせた住宅、公園やいく園、買い物ができるせつなどが備わっており、「安心・安全で環境にやさしく、サステナブル(持続可能)なまち」をテーマにまちづくりに取り組んでいます。
みなさんは、今、住んでいるまちに「ずっと住み続けられる」ことがあたりまえだと思っていませんか? しかし、最近のニュースを見てもお分かりのように、しんや台風、集中ごうなどの自然さいがいが起こると、家やまちが大きながいを受けて住み続けることがむずかしくなり、元のじょうたいもどすのに大変な労力がかかることがあります。 安心・安全に住み続けられるまちは、「さいがいに強い」ことが大切なキーワードとなります。(佐藤さん)

さいがいのときもらしを守る「インフラ」

私たちが暮らすまちの地下にはいろいろな設備が埋まっています。

では、自然さいがいからどのように「まち」を守ればよいのでしょうか?
まちの大切なやくわりのひとつに「インフラ」とばれる生活をささえるほん的なせつがあります。道路や上下水道、ガス、電気、電話やインターネットの通信せつなども、すべてらしに欠かせない「インフラ」です。しんなどのさいがいが起こった時にこのようなせつこわれて使えなくなってしまうと、生活に大きなえいきょうがあります。

あさのまちでは、地下を通る水道管やガス管のパイプに「ポリエチレン」というざいを使っています。これまで水道管やガス管に使われていたきんぞくせいのパイプとことなり、ポリエチレンはさびることがありません。また、ポリエチレンはじょうぶでしなやかなざいなのでしんが起こっても地面のゆれに合わせて曲がり、こわれることがありません。

家庭で使ったよごれた水を流す下水管には、パイプの表面に細かいひだをつけて、強度を高めています。下水管がこわれてしまうとよごれた水がまちに流れてしまい、ニオイやえいせいめんが問題になりますが、そのような問題をふせぐことにもつながります。(佐藤さん)

じょうぶでしなやかなポリエチレン製のパイプ。

大量にった雨を地下にめるシステム

台風や集中ごうによる水害へのたいさくも欠かせません。短い時間に大量の雨がると、まちの地下にある下水管から水があふれてしまい、まちが水びたしになることがあります。また、まちから川や海に流れる水がきゅうげきえると、川の水があふれてこうずいになるなど、大きながいが出ます。

あさのまちではそれぞれのじゅうたくちゅうしゃじょうの地下に、雨水を一時的にためることができる「クロスウェーブ」というせつせっしています。クロスウェーブは四角すいのような形をしたとっならんでいるもので、これを重ねてすき間のある箱の形をつくって地下にめることで、大雨や台風のときにそのすき間に雨水をめることができます。
また、道路の下には直径1.5~1.8メートルの大きなすいかんめていて、大雨がってもすみやかに雨水をためられるようになっています。そして、雨水管からゆっくりと雨水を川に流すことで、川の水があふれ出ることをふせぎます。
これらのせつにより、あさのまち全体では約600万リットルの水をめることができ、まちの水害たいさくこうけんしています。(佐藤さん)

直径が1.5-1.8mもある大きな雨水管。

環境にやさしく快適なまち

住宅の屋根に設置された太陽光パネル

自然エネルギーの活用も、安心・安全なまちづくりには大切です。あさのまちでは、すべてのじゅうたくの屋根に太陽光パネルをせっ。太陽の光で電気をつくり、自分の家でつくったエネルギーで生活する「エネルギーの自給自足」を行っています。

太陽光でつくった電池をめておけるちくでんを設置している家もあるんですよ。ちくでんがあると、昼間つくった電気を夜間に使ったり、さいがいなどでていでんが起きた時に使って生活したりすることができるんです。

わたしは東日本大しんさいのときに、せんだいさいしたけいけんがあります。当時のお客様からは、太陽光パネルで発電した電気のおかげで、すいはんでごはんをいたり、けいたい電話をじゅうでんしたりすることができた、というお話も身近に聞きました。電気はわたしたちのらしになくてはならないものです。地球おんだんげんいんのひとつであるさんたんを出さず、かんきょうにやさしいエネルギーをつくり出す太陽光パネルは安心・安全なまちの重要なインフラです。(佐藤さん)

さらに、電線を地下にめて、さいがい時に電線が切れたり、電柱がたおれたりする危険を防ぐ工夫もしています。また、さいがいのときだけでなく、ふだんのらしの安全を守るために、街灯や家のまどにセンサーを取り付けたぼうはんシステムで家とまちを守っています。

子どもからこうれいしゃまで、いろいろな世代がらすまち

ずっと住み続けられるまちには、いろいろな世代の人が交流し、ささえ合いながららせることも大切です。

これからのまちづくりでは、子どもからこうれいしゃまで、いろいろな世代の人が集まって、みんながいっしょらせることが大切になってきます。あさのまちでは、まちに住む人たちだけでなく、いきの人たちが集まれる公園やいく施設、買い物ができる場所などもつくり、交流が活発になるような工夫をしています。
(佐藤さん)

特に、さいがいが起きたときは、住人どうささえ合い、まちを守るために協力し合うことが必要です。いざというときのためにも、ふだんから、住む人たちが交流しやすいまちにしたいものです。

まちづくりは家や道路、せつができあがった時点で終わりではありません。そこでらす人々がにない手となり、自分たちにとって「住み続けたいりょくてきなまち」にしていくことが大切です。みなさんも、自分の住むまちを「魅力的で安心・安全なまち」にするために、どんなことができるかぜひ考えてみてください。
(佐藤さん)


コラム

家の「寿じゅみょう」を長持ちさせるためにできること


世界と日本の家の平均寿命
【滅失住宅の平均築後年数の国際比較(国土交通省 令和5年度)より作成】


日本の家の平均寿じゅみょう(※家がつくられてから取りこわされるまでの期間)は約40年ほどです。日本は湿しつが高くしんも多いため、じゅうたくに使われている材料がいたみやすいことや、新しい家が好まれるこくみんせいれきてきはいけいなどがあり、たんじゅんくらべることはむずかしいですが、ほかの国とくらべても家の寿じゅみょうが短いことが分かります。
しかし、寿じゅみょうが短い家は、取り壊すときに大量のゴミが出る、家を建て直すときに新しい材料が必要になる、また、お金がかかるといった問題もあります。
積水化学グループでは「工場」で家をつくっています。工場で機械と人によって、せっけい通りに家をつくることで家がいたげんいんとなるすきやズレを防ぎ、60年以上住める工夫をしています。寿じゅみょうが長い家は建て直しで生まれるゴミがなく、かんきょうにもやさしい家ということをしきして、住み続けられる「家」を考えていきたいものです。


原稿作成:株式会社 日経BP



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