人間らしい働き方って?
世界には、働きたいと思っているのに仕事がない失業者が約1.9億人います。そして、仕事があっても、15人に1人は十分な収入を得ることができず、極度の貧困から抜け出す事ができずにいます※1。労働時間や労働条件が厳しい環境で働かなくてはいけない人も少なくありません。
働きがいがあり、十分な収入が得られる仕事をディーセント・ワークといいます。貧富の格差が拡大しているといわれる今、地球のみんなが幸せに暮らすためには、ディーセント・ワークをいかに実現できるのか、考えていかなくてはなりません。
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ディーセント・ワーク...働きがいのある人間らしい仕事。働く人のあらゆる権利が守られ、生活が安定する仕事。
また、これからの時代は、大量生産・大量消費を卒業し、経済の発展と環境を守ることを両立することが大切です。持続可能な経済成長の仕組みづくりは、SDGsの大きな目標です。
読み解くヒント
学校に行けずに働く、児童労働
日本では、ほとんどの子どもが義務教育の小学校、中学校を卒業後も高校に進学。大学・短大進学率も約60%に達するなど、世界でも有数の高学歴社会です。
しかし、世界では学校で勉強したくても、いろいろな理由から働かなくてはいけない子どもたちがたくさんいます。5~17歳の働く子どもの数は約1億6,000万人。世界の子どもの10人に1人が学校で教育を受けることなく働いています※2。
児童労働をする子どもは、安い賃金で、働く条件も悪い環境にいることがほとんどです。教育を受けないまま大人になることで貧しさから抜け出せない、病気やケガをしても治療を受けられない、正規の仕事につけないので、不安定な仕事をせざるを得ず、結果、犯罪に走りやすいなど、さまざまな問題にもつながります。
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児童労働...15歳未満(途上国は14歳未満)の義務教育を受けるべき年齢の子どもが、教育を受けずに大人と同じように働くこと。また、18歳未満の子どもが危険で害のある労働をすること。
児童労働は「生活のために働かなくてはならない」という理由のほかに、「学校に行く意味がない」「女子は教育を受ける必要がない」という親や周囲の考え、国や地域によっては宗教上の理由で、一定以上の教育を受けることを禁止することもあります。
世界の若者や途上国の失業率
世界では若い世代の失業率が問題となっています。2023年の若者の失業率は約14.1%※3。働くことをあきらめて「ニート」となる若者も増えています。安定した収入を得たり、安定した仕事についたりするチャンスが減ることは、若い人たちが未来への希望を失い、社会に不満を持つことにつながります。
地球の未来をつくる若者が、満足できる働き方ができることは、持続可能な社会づくりにおいてはとても大切なことです。
わたしたちにできることは?
わたしたちの暮らす日本の働き方はどうでしょう。
働き方改革、ブラック企業、過労死という言葉を耳にしたことがありませんか?
また、AIやロボットが導入され、テクノロジーが進歩することで働き方はどのように変わっていくのでしょうか。
「長時間働くことがよいこと」というムードがある日本。その結果、低い収入で長時間働かなくてはならない、上司や社長の命令に逆らえないという「ブラック企業」や、働きすぎによる「過労死」が、社会の大きな問題となっています。
そこで、国をあげて取り組んでいるのが、働き方を見直そうという「働き方改革」です。仕事とプライベートの両方が充実した、バランスの良い人生を送るには、どんな働き方が良いのか。お父さんやお母さんはどんな働き方をしているのか。ぜひ、家族や友だちと話し合ってみましょう。
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働き方改革...ITなどテクノロジーを最大限利用して、一人ひとりの生産性を上げることで、短い時間で仕事の成果を出したり、夜は残業をしたりしないで早く帰るなど、働く人が「働きやすい」環境を整えるために進めるさまざまな改革。