生物多様性をはぐくむ自然
人の暮らしは山や川、海、そして森に囲まれた自然と、そこで生きるたくさんの生き物に支えられています。 わたしたち人間の暮らしが豊かになるにつれて、生物多様性を守る自然がどんどん破壊されてしまいました。森が失われ、多くの生き物が絶滅の危機にあります。
人の暮らしは山や川、海、そして森に囲まれた自然と、そこで生きるたくさんの生き物に支えられています。 わたしたち人間の暮らしが豊かになるにつれて、生物多様性を守る自然がどんどん破壊されてしまいました。森が失われ、多くの生き物が絶滅の危機にあります。
生物多様性...山、海、川、森などの多様な自然の中で、たくさんの種類の生き物が関わり合いながら、生きていること。
世界の陸地面積の3分の1が森林です。豊かな森は生き物たちが暮らす場所というだけでなく、酸素や土を作り、水をたくわえます。しかし、今、世界では、1年間で約470万ヘクタール以上の森が失われています。そして、過去30年間で失われた森の9割は、熱帯地域のものです※1。
森がなくなる原因は、砂漠化や酸性雨などの気候変動の影響、森の生態系を無視した無計画な森林の伐採、人口が増えて都市化が進んだことなどがあります。いつまでも豊かな自然と暮らしていくためには、森を守り、再生していく行動が必要です。
全世界には知られているだけで、175万種の生き物が暮らしています。そのうち約4万4,000種の野生生物が絶滅の危機にある「レッドリスト」として指定されています※2。
レッドリスト...世界で絶滅の危機にある野生生物をリストアップしたもの。チンパンジーやカバ、アフリカゾウ、トラ、パンダなどおなじみの動物たちが絶滅の危機にある。
恐竜と同じで、一度絶滅してしまった生き物は、二度と地球上に戻ってくることができません。自然が破壊されて行き場を失い、種としての命の危険にある生き物たちを守っていくことも、人間の責任です。
日本は世界でも有数の生物多様性が豊かな国として知られています。国土の7割を森林が占める日本には、昔から自然と人間の暮らしをつなぐ場所として里山があります。畑や田んぼが広がる里山は、人が手を加えた自然の環境です。野生の生き物と人が共に暮らす、中間地帯のような役割を果たしてきました。
しかし、過疎化や高齢化が進み、人の手入れがなくなったことで荒れる里山が増えています。また、都市化の影響で、畑や田んぼが住宅に変わっていくケースも少なくありません。こうしてすむ場所を追われた生き物たちが、数をどんどん減らしているのです。
森に暮らす生き物を守るために、わたしたちに何ができるのでしょうか。
学校や地域でやっている植林活動や森づくり、田んぼの生き物調査などに参加してみましょう。そして、生き物たちが暮らす自然を守るために、どんなことを知っておかなくてはいけないのか。ぜひ、考えてみましょう。
原稿作成:日経BP/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク