「貧困」って何だろう?
地球上には、生活に困るほどの貧しい「貧困」に苦しむ人が大勢います。「貧困」といっても、豊かな日本で暮らしていると、なかなかイメージがしにくいかもしれません。そもそも「貧困」とはどういうことをいうのでしょうか。
「貧困」にはいくつか考え方がありますが、一番、緊急の問題は「極度の貧困」状態で生活している人たちです。
地球上には、生活に困るほどの貧しい「貧困」に苦しむ人が大勢います。「貧困」といっても、豊かな日本で暮らしていると、なかなかイメージがしにくいかもしれません。そもそも「貧困」とはどういうことをいうのでしょうか。
「貧困」にはいくつか考え方がありますが、一番、緊急の問題は「極度の貧困」状態で生活している人たちです。
極度の貧困...「国際貧困ライン」という、世界銀行が定めた「1日2.15ドル未満で暮らす人たち」のことです※1。2.15ドルは日本円で約316円(2024年3月時点)です。約316円で、食べ物、飲み物、電気・ガス・水道、家でかかるお金などを1日分まかなう生活をしなくてはなりません。
世界には極度の貧困状態で暮らす人が約6.5億人もいます。世界人口の12人に1人が極度の貧困状態で暮らしているのです※2。
このような「絶対的貧困」に対して、先進国では「相対的貧困」という考え方で貧困の問題をとらえます。
絶対的貧困...生きていくために必要最低限の生活ができない状態の貧困。
相対的貧困...ある地域社会の中で、大多数の人の生活レベルよりも経済的に貧しい状態の貧困。
「貧しさ」の問題は、さまざまな問題を引き起こす原因となります。お金がないと、病気になっても病院に行けなかったり、教育を受けるチャンスがなかったりします。
子どものうちから家計を助けるために働いたり、貧しいことでほかの人から差別されたりする原因になることも少なくありません。社会のさまざまなサービスから取り残されて、貧しさがさらなる貧しさを引き起こすことも。
もっと問題なのは、貧しい親の子どもは教育を受けられないため、十分な収入を得られる仕事につくことが難しく、親から子へ貧しさが受け継がれてしまうことです。つまり、貧しい家庭に生まれることで、その子どもや、その子どもの子どもはずっと貧しい生活を送らないといけなくなる可能性が高くなります。これを「貧困の連鎖」といいます。
貧しさの問題を解決するには、この「貧困の連鎖」を断ち切るためのさまざまな工夫が必要になってきます。
世界が急いで解決しなくてはいけない「極度の貧困」状態の人たちの多くは途上国で暮らしています。先進国を中心とした国際的な支援が必要ですが、それだけでなく、貧しい人たちが自分たちで生活を向上させられるような「自立」へのサポートも大切になってきます。
遠いことのように感じがちな「貧しさ」の問題は、わたしたちが暮らす日本にもあります。先進国の子どもたちの状況を比べた調査によると、「子どもの貧困」については、日本は39カ国中8位※3。9人に1人が相対的貧困※4となっています。日本国内での豊かな人と貧しい人の差が開いてきていることがわかります。絶対的貧困というと想像するのが難しいかもしれませんが、相対的貧困を考えると、実は他人事ではないのです。
世界の貧しさの問題を解決するために、わたしたちには何ができるでしょうか? まずは、どんなことが起きているのかを知ることが最初の一歩。世界ではどんな食事をどれくらい食べているのか? インターネットや本で探してみるのも方法です。
自分がふだん食べている量と比べてみると、「貧しさ」という問題が身近に感じられるかもしれませんね。
原稿作成:日経BP/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク