海はすべての生命のみなもと
地球の面積の7割を占める海。この豊かな海は、地球のあらゆる命のみなもとです。そして、海からはわたしたちが生きるための食べ物など、多くの恵みを受け取っています。
しかし、その海が、深刻な問題を抱えています。
ひとつは魚などの獲り過ぎで、多くの海の資源が減ってしまったこと。世界的な健康ブームで魚を食べる人が増え、魚を獲る量が増加し、違法な漁業も増えています。その結果、魚資源が減ってしまい、まだ十分に利用できる水産資源が7.2%になってしまいました※1。
もうひとつは、わたしたちが出すごみや排水で海が汚れてしまっていることです。
読み解くヒント
ウナギが食べられなくなる?
世界の人口が増え、漁業の技術も進歩したせいで、「魚の獲り過ぎ」が問題になっています。魚が大好きな日本人におなじみウナギは絶滅危機にあります。ウナギの蒲焼が、食べられなくなる日がくるかもしれません。
そうならないようにするには、魚などの海の生き物をずっと獲り続けられるような仕組みを考えていく必要があります。魚を獲る量を制限するのも一つですが、漁業で生活をしている途上国の人たちが他の仕事で収入を得られるようにサポートをするなど、途上国の人たちの生活を守ることも考えていかなくてはいけません。
海はプラスチックのごみ捨て場?
海岸にうちあげられた、たくさんのプラスチックごみを見たことはありませんか。
プラスチックの生産量は大きく増えていて、1950年代と比べて、約180倍ものプラスチックが生産されています。特に飲み物や食べ物の容器、荷物を運ぶときに使う発泡スチロールなど、包装に使うプラスチックの消費が増えています。
プラスチックはごみとして捨てられると、自然に分解されることがほとんどありません。
捨てられたプラスチックごみが最終的に行き着くのが海です。
世界中の海には、毎年約1,400万トン、東京スカイツリー390基分ものプラスチックごみが流れ込んでいるといわれていて、このままだと、その量はとても多く、2050年には、海に流れ込んだプラスチックごみの量が海の魚の量を超えるだろうという予想もあるほどです※2。
プラスチックは海の中で砕けて、小さな破片となり、それを魚や海鳥たちがエサと間違えて食べてしまいます。クジラのお腹から山のようなプラスチックごみが出てきたという話もあります。同じような話が、多くの海の生き物やそれを食べる生き物たちに起きているのです。
「水の惑星」ともよばれる地球。そこに暮らすわたしたちは、きれいな海と海の生き物たちを守っていかなくてはなりません。
わたしたちにできることは?
いつもの食卓にのぼるおいしい魚。その魚がどのように獲られたものか、知っていますか?
「海のエコラベル」とよばれているものの一つに、「MSC認証マーク」があります。これは、いつまでも魚を食べ続けることができるように、海の自然や資源を守りながら獲られた水産物であることを示すマークです。このようなエコラベルのついた魚を買うことも、海を守ることにつながるのです。
ふだんからプラスチックごみをなるべく出さないように、マイバックやマイボトルを持ち歩く、ペットボトルはリサイクルに出す、などの小さな心がけも豊かな海を守ることにつながります。