※本記事や動画に掲載されている内容はすべて取材時点(2020年)のものです。
つながる通信技術で未来をつくる
株式会社NTTドコモ
わたしたちは,スマートフォンや携帯電話を使って,家族や友だちと電話やメール,SNSをしたり,インターネットでニュースや動画を楽しんだりしていますが,ある日,突然,こうしたやり取りが全くできなくなったらどうなるでしょうか?
音声や写真,動画などの情報をやり取りするしくみを「通信」と言いますが,その通信を支えるしくみをつくっているのが株式会社NTTドコモです。
ドコモの外園さんに,わたしたちが安心して使える通信のしくみと,その未来について聞いてみました。

株式会社NTTドコモ 5Gイノベーション推進室 5G無線技術研究グループ 外園悠貴さん
つながることがあたりまえに
どんな場所でもつながることがあたりまえのスマートフォンや携帯電話ですが,それを支えるために,ドコモはさまざまな取り組みをしています。
スマートフォンや携帯電話は「電波」と呼ばれるものを送ったり受け取ったりすることで,音声や情報をやり取りしています。そして,この電波を送り届けるのに大切な働きをしているのが基地局(アンテナ)です。
ですから,スマートフォンや携帯電話がいつでもどんな場所でもつながるためには,基地局を適切な場所につくり,それを管理していくことが欠かせません。(外園さん)

基地局が電波を受け取り,届けることでスマートフォンや携帯電話がつながっている。
ドコモでは電波を送受信する基地局を全国に20万局以上も設置。そして,すべての基地局を,東京と大阪にある2つのオペレーションセンターで,24時間・365日管理し,正常に動いているかをチェックしています。
もしどこかの基地局で不具合があった場合は,全国に2000人いるスタッフがすぐに故障の対応をし,復旧にあたります。

基地局に異常が無いかをモニターでチェックしている。
「つながる」ための取り組みは,基地局をつくることだけではありません。
たとえば,花火大会やスポーツイベントなど,同じ場所にたくさんの人が集まってスマートフォンを使おうとすると,たくさんの電波が飛び交って混雑し,つながりにくくなります。そういう時は,基地局からの電波を調整するなどして「快適に」つながるように対策をしています。(外園さん)
このほかにも,登山中やフェリーや船での移動中など,毎日の生活で使うことがそれほど多くないような山や海でも,通信がつながるように,特別な基地局を建てる取り組みもしています。
いざという時でも「つながる安心」

「もしも」の時でも通信がつながることが,安心して暮らせるためには欠かせません。
いつでも,どんな場所でもつながること。それは大きな災害があった時でも同じことです。
災害があった時,スマートフォンや携帯電話は,支援や救助に関する正しい情報を知るために欠かせないだけでなく,被災して不安な気持ちの人たちが,大切な家族や仲間と連絡を取り合うためにも欠かせない,命を守るために必要なものです。(外園さん)
2011年に発生した東日本大震災では,大規模な停電が起こり,東北地方にあるドコモの基地局の4割が使えなくなりました。その反省から,現在は,災害がおきても通信ルートを複数準備するなどの対策をしています。
基地局にはバッテリー(蓄電池)を備えて,停電がおきても電波を送れるようにしてあります。また,自治体の役場など災害時の拠点となる場所には,衛星電話を貸し出して,基地局から電波が届かなくても通信ができるようにしています。(外園さん)

ドコモの移動基地局車。通信がつながらない,つながりにくい地域に直接移動して臨時の基地局に。
また,実際に災害が起こってしまった地域には,移動基地局車を出動させたり,停電してしまった基地局に電気を送る移動電源車を出動させたり,すぐに通信が復旧できる体制をつくっています。
災害時に,使えなくなった通信を復旧してもう一度つながるようにすることはとても大変な作業です。しかし,被災したみなさんが安心してスマートフォンが使えるようになり「ありがとう」という言葉をかけていただくと,本当に励みになりますし,改めて,通信は命を守る「ライフライン」としての役割を担っているのだと実感します。(外園さん)

ドコモが提供する充電器を利用してスマートフォンや携帯電話の充電をする人たち。
台風や地震,集中豪雨や土砂災害など,わたしたちが暮らす日本では,自然がもたらす災害への備えは欠かせません。
いざという時でもつながる通信のしくみがあることは,社会の安心や安全,命を守ることにもつながります。
未来のあたりまえをつくる「5G(ファイブ・ジー)」
※「G」はGeneration=世代のこと。
このように,わたしたちの暮らしを支えているスマートフォンや携帯電話の通信ですが,技術革新により,どんどんと便利に進化しています。
携帯電話が誕生した40年前,その中心は「声」でした。それから,文字や写真が送れるようになり,4Gでは動画のやり取りが快適にできるようになりました。
そして,2020年からはより高速にたくさんのデータをやり取りできる「5G」のサービスが始まりました。(外園さん)

通信技術の進化で大量の情報を瞬時にやり取りできるように。

4Gから5Gへの変化は,交通でたとえると,道路の車線が増えて,スピードが車から飛行機に変わったようなものといえます。
新しい通信技術である「5G」で,わたしたちの暮らしはどのように変わっていくのでしょうか。
5Gは,遠く離れた場所に,一度のたくさんの情報を遅れることなく送り届けることができます。
こうした特徴を使えば,鮮明な画像を,リアルタイムで遠く離れたところに送ることができるので,病院が遠くて通えない人たちも,離れたところにある病院の先生の最先端の治療を受けることができるようになります。
また,現場にいなくても別の場所からショベルカーを操作して,一人の操縦者が,場所を移動することなく,いくつもの建設現場で作業をすることができるようになり,働き手不足の解消につながるかもしれません。(外園さん)

ほかにも,サッカーなどのスポーツを好きな角度で見たり,音楽のライブでは最前列にいるかのような体験ができたり,その場にいなくても,その場にいるのと同じような雰囲気で手元のスマートフォンなどで楽しめるようになります。
また,5Gの世界では,人と人だけではなく,人とモノももっとつながりやすくなるので,スマートフォンと家電がつながって,寝起きと同時にカーテンが自動的に開いたり,家に帰る前にエアコンが操作されたりするようになります。
さらに,より多くのモノがインターネットにつながるようになって,たとえば,クルマとモノがインターネットでつながる自動運転車など,新しいサービスや技術も5Gによって進化し身近になっていくと考えられています。(外園さん)

安心と新しい技術への挑戦で,社会に貢献
ドコモは,みなさんの暮らしに欠かせない通信を,いつでも,どんな場所でも使えるようにすることで,「安心・安全,豊かで便利な社会」をつくっています。
そして,未来に向けた挑戦にも積極的に取り組んでいます。
通信ネットワークに関わる会社として,生活に関わるあらゆるモノとモノ,人とモノを「つなぐ」ことで,社会にあるさまざまな課題を解決し,より良い社会をつくっていきたいと考えています。
そのために,いろいろな企業や大学と協力し,通信とほかの技術を組み合わせ,新しい技術革新に取り組んでいます。(外園さん)
わたしたちの暮らしを守っている通信は,新しい未来をつくる技術でもあります。
わたしたちのより良い社会をつくっていくために,通信技術を使ってどのようなことができるのか。ぜひ,みんなで考えてみましょう。
原稿作成:株式会社 日経BP