- 安全な水と衛生的な環境を管理する
- すべての人が安全な水と衛生的な環境を使えるようにする
- EduTown SDGs
- 17の目標
- 6.安全できれいな水とトイレを世界中に
清潔大国の日本 VS 世界の水・トイレ事情
水道をひねるとすぐに清潔で安全な水が手に入る日本。トイレにいたっては,世界トップクラスの技術で,節水・保温・ニオイの管理ができるうえ,ふたの開け閉め,水洗まで自動化されています。
一方で,世界には安全な水が手に入らない人も大勢います。「安全な水」といっても,国によって基準が違いますが,SDGsでは水道のパイプで管理されている水を「安全な水」としています。水道で運ばれる安全な水が使えない人は,世界で約21億人。世界の人口の約3分の1の人が,水道の水を使えないことになります。また,安全に管理されたトイレを使えない人は約45億人。世界の半分以上,6割の人がこれにあたります。※1
※1 出典:ユニセフ・WHO 共同監査プログラム(JMP)『衛生施設と飲料水の前進:2017年最新データと持続可能な開発目標(SDGs)基準』
読み解くヒント
健康に欠かせない水とトイレ
では,どうして「安全な水」と「清潔なトイレ」が必要なのでしょうか? 地球上には,世界のすべての人が使える十分な「真水」があります。しかし,貧しい国では,上下水道設備などのインフラが整っていないことも多く,飲むことのできる安全な水を簡単に手に入れられないことも多いのです。
例えば,糞尿,生活で使った汚れた水,工場の排水が川や湖に流れ込んだり,有害な物質が染み込んだ土地の地下水。これらを処理しないまま飲んで下痢になることで,多くの命が奪われています。下痢による5歳未満の子どもの死亡数は約36万人※1にもなります。不衛生なトイレや汚れた水は,コレラや赤痢など恐ろしい感染症の原因にも大きく影響しています。
水が「高いもの」になる
異常気象や人口の増加,経済の発展などの影響で,これからますます水不足になることが予想されています。2050年までに4人に1人以上が,水不足の問題をかかえる国で暮らすという予想があります※2。21世紀が「水の世紀」と呼ばれるのもそれが理由です。
※2 出典:国連アジェンダ 虎の巻
女性にとっての水・トイレ問題
水やトイレは,女性にとっても大きな問題です。水道の設備がない地域では,「水くみ」は命をつなぐ大切な仕事。多くの場合,遠くまで何時間もかけて水をくみにいくのは,主に女性たちです。そのため,学校に通うことができなかったり,収入を得る仕事をする時間がなくなっています。
不衛生なトイレは,野外にあるなどプライバシーが守られていないことも少なくありません。また,難民キャンプではトイレが住んでいる場所から遠かったり,トイレに明かりがついていない場合,暴力を受ける危険な場所にもなりがちです。
自分たちにできることは?
はじめにいったように,日本には高いトイレの技術があります。日本のトイレメーカーのLIXILが,アフリカのケニアでチャレンジしているのが「循環型無水トイレ」。水がなくても使えて,排泄物を地上で堆肥にして回収するというエコトイレです。上下水道の設備が整っていない,水が手に入りにくい地域でも使えるのがポイントです。
一方で,日本では水の使用量をできるだけ減らした「節水トイレ」が多く販売されています。家庭で使う水でお風呂の次に使用量が多いのがトイレ。※3節水トイレを使う以外にも,二度流しをしない,大小のレバーを上手に使うなども方法です。
水を節約して上手に使うことは,災害対策にも役立ちます。例えば,家庭の1日をバケツ1杯の水ですべてまかなってみる,というチャレンジ。水をどれだけ使っているか,どうすれば節約できるか,実際に体験してみましょう。
※3 出典:東京水道局
原稿作成:日経BP社/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク