- 国と国の不平等を減らす
- 同じ国の中にある不平等を減らす
- EduTown SDGs
- 17の目標
- 10.不平等を減らす
いろいろな不平等
世界には,いろいろな不平等があります。
先進国と開発途上国,開発途上国と後発開発途上国(開発途上国の中でも特に開発が遅れた国),同じ国や地域の中でも豊かな人と貧しい人,男性と女性,健常者と障がいを抱えた人,人種,民族,宗教…。
これらの違いがもたらす不平等を減らすことは,世界の幸せのためにはとても大切です。それが貧困や飢え,争いごとをなくすことにも役立ちます。
読み解くヒント
ほんの一部のお金持ちに集中する世界の富
世界の人口は約76億人。そのうちの世界でもっともお金持ちの8人は,貧しい人たち36億人分と同じ資産を持っています。つまり,たった8人のお金持ちが世界の人口の半分の富を持っているのです。※1
ほんのひと握りのエリートやお金持ちに世界の富が集中することで,お金持ちはよりお金持ちに,貧しい人はより貧しくなる。そんな貧富の格差が広がっています。
このような極端な富の格差を減らして,富の再分配の仕組みをつくること。そして,貧しい人たちが収入を増やしていける支援が必要です。
※1 出典:国際非政府組織(NGO)オックスファム 2017報告書 「99%のための経済(An Economy for the 99%)」
国を超えて考える移民の問題
不平等の問題のひとつに,移民問題があります。移民とは,自分が住む国からほかの国へさまざまな目的で移り住む人たちです。
移民の受け入れが,国や地域によっては,なぜ問題になるのでしょうか。
ひとつには不況で仕事が減ったときに,移民と仕事の取り合いになってしまう可能性があると,昔から住んでいる人が考えてしまうこと。移民のほうが安い賃金で働くことが多いために,自分たちの仕事を奪っていると感じる人がいるのです。また,移民が定住することで,人口にしめる移民の割合も増えていきます。移民政策を進めてきたドイツでは,5歳未満の約3人に1人が移民というデータもあります。※2「自分の周りが異なる文化や宗教,慣習を持つ人になる」ことをいやがって,移民へのいやがらせをする人や団体も少なくありません。
ひとつの国の中で,もともと住んでいた人たちと移民の間に,いつのまにか感情的な対立が生まれ,さまざまな問題を引き起こしています。さらにその子どもや孫の2世や3世も,移民の子孫として差別や不平等な扱いを受けがちです。
世界中を人々が自由に行き来する時代だからこそ,さまざまな人々が共に働き,一緒に暮らしていける世界を考えるべきでしょう。
※2 出典:労働政策研究・研修機構「主要国の外国人労働者受入れ動向:ドイツ」(孫引き、元データはドイツ語)
わたしたちにできること
さまざまな不平等や差別はどうして起きるのでしょうか? 考えてみると肌や髪の色などの見た目,言葉,慣習,宗教,人種,生活習慣の違いはたくさんあります。
違いは国と国,人種や言葉,文化だけではありません。男女の性別,健康な人と病気や障がいを抱えている人,年齢の違いなど,お互いが違うことはたくさんあります。どちらかが優れているわけではなく,違いがあるからこそ学び合い,発見することができるのです。
不平等を減らすには,みんなが違っていることを知り,違いがあるのが当然だと理解すること。お互いの違いを認め,相手を大事にする気持ちが,何よりも大切になってきます。
原稿作成:日経BP社/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク