- 飢餓をなくして,生きるのに十分な食料を食べられるようにする
- 栄養バランスをよくする
- 持続可能な農業をする
- EduTown SDGs
- 17の目標
- 2.飢餓をなくそう
「飢餓」って何だろう?
飢餓とは,十分な食べ物を食べることができず,栄養バランスがかたより,健康な状態を保つことができなくなった状態です。そのため,命を落とす人も少なくありません。特に体力がない赤ちゃんや子どもにとっては,飢餓の問題はとても深刻です。
地球上で飢餓に苦しむ人は約8億1500万人。これは世界の人口の9人に1人の割合です。※1
※1 出典:国連WFP
読み解くヒント
飢餓はどうして起こるの?
飢餓はどうして起きるのでしょうか。
「人口に対して食べ物が足りないから」という答えが浮かぶ人も多いでしょう。しかし,世界では1年間で主食である穀物が約25億t※2を生産。世界のすべての人々に平均的に分けると,1人が年間340kg以上食べられる量です。これは1人の人が,健康に生きていくために必要な食べ物の量の2倍。つまり,今,世界では地球上にいる人,全員が飢えることなく,食べられる量の穀物を十分生産できているのです。
では,どうして,飢えに苦しむ人がいるのでしょうか。穀物は,世界の生産量の半分近くを世界の人口の2割にも満たない先進国が消費しています。※3さらにその半分は,牛や豚などのエサとして使われています。肉の消費量が増えることは,飢餓の原因のひとつになっているということです。
さらに,将来,世界の人口は爆発的に増えると考えられています。また,近年経済的に成長してきた国では食料の消費量が急激に増えてきています。そのため,2000年と2050年では,必要な食べ物の量が1.6倍になるという予想もあります。※4 世界的に食料不足が問題になり,食べ物の奪い合いが起きるかもしれません。
※2 出典:国連食糧農業機関(FAO)(2015‐2016概算値/2016年)
※3 出典:国際連合「世界人口予測・2017年改訂版 [United Nations . World Population Prospects: The 2017 Revision.]」
※4 出典:農林水産省「2050年における世界の食料需給見通し」ベースライン予測結果
外国から食べ物を買う影響
世界では多くの食べ物が国や地域の間で取引されています。 必要な量の食料を自分の国で生産する割合を「食料自給率」といいますが,日本は食料自給率が38%※5と,世界でも食べ物の多くを輸入にたよっている国です。
日本のように経済的に豊かな国が食料をほかの国から買う一方で,貧しい国ではほかの国から買えない,自分の国で生産した食料も外国に輸出してしまい,自分たちが食べる分がなくなるということも起きています。
※5 出典:農林水産省
自分たちにできることは?
「食品ロス」という言葉を知っていますか?
人が食べるために生産されたのに,食べられなかった食べ物のことです。例えば食べ残しや賞味期限切れで捨てられた食べ物は食品ロスとなります。日本では年間621万tの食品ロスがあります。※6これは世界でもトップクラスの量。そのうち半分は家庭から出る食べ残しなどです。日本は「食べ残し大国」といえるでしょう。
自分たちの暮らしから食品ロスを減らすことは,世界の飢餓を減らすことにつながります。
※6 出典:環境省「食品ロスを含む食品廃棄物等の利用状況等」
- 賞味期限と消費期限の違いを知って,期限内に食べる。
- 買い物をするときに,食べ切れる量を考えてムダ買いをしない。
- 災害用の非常食は,毎年,震災の日に食べるなどと決めて期限前に食べきる。
- 消費期限が近い食べ物を持ち寄り,家族や友だちと食品ロスパーティをする。
今日から自分にもできる,小さな工夫がいろいろありそうです。
原稿作成:日経BP社/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク