- 世界からあらゆる貧困をなくす
- EduTown SDGs
- 17の目標
- 1.貧困をなくそう
「貧困」って何だろう?
地球上には,生活に困る程の貧しい「貧困」に苦しむ人が大勢います。「貧困」といっても,豊かな日本で暮らしていると,なかなかイメージがしにくいかもしれません。そもそも「貧困」とはどういうことをいうのでしょうか。
「貧困」にはいくつか考え方があります。 まず,一番, 緊急の問題は「極度の貧困」状態で生活している人たちです。
キーワード
極度の貧困…SDGsでは,「国際貧困ライン」といって,世界銀行が定めた「1日1.9ドル未満で暮らす」ことです。※11.9ドルは日本円で約210円(2018年7月時点)です。ハンバーガーが300円として,その1つ分にも満たない金額で,食べ物,飲み物,電気・ガス・水道,家でかかるお金などを1日分まかなう生活をしなくてはなりません。
世界には極度の貧困状態で暮らす人が7億6700万人もいます。地球の人口が約75億人なので,10人に1人が極度の貧困状態で暮らしているのです。※2
※1 出典:世界銀行 国際貧困ラインの改定について
※2 出典:ユニセフ
このような「絶対的貧困」に対して,先進国では「相対的貧困」という考え方で貧困の問題を考えます。
キーワード
絶対的貧困…生きていくために必要最低限の生活ができない状態の貧困。
相対的貧困…ある地域社会の中で,大多数の人の生活レベルよりも経済的に貧しい状態の貧困。
読み解くヒント
貧しさが引き起こす,さまざまな問題
「貧しさ」の問題は,さまざまな問題を引き起こす原因となります。お金がないと,病気になっても病院に行けなかったり,教育を受けるチャンスがなかったりします。
子どものうちから家計を助けるために働いたり,貧しいことがほかの人から差別される原因になることも少なくありません。社会のさまざまなサービスから取り残されて,貧しさがさらなる貧しさを呼ぶことにも。
もっと問題なのは,貧しい親の子どもは教育を受けられないため,十分な収入をえられる仕事につくことが難しく,親から子へ貧しさが受け継がれてしまうことです。つまり,貧しい家庭に生まれることで,その子どもや,その子どもの子どもはずっと貧しい生活を送らないといけなくなる可能性が高くなります。これを「貧困の連鎖」といいます。
貧しさの問題を解決するには,この「貧困の連鎖」を断ち切るためのさまざまな工夫が必要になってきます。
世界が急いで解決しなくてはいけない「極度の貧困」の多くは開発途上国にあります。先進国を中心とした国際的な助けが必要ですが,それだけでなく,貧しい人たちが自分たちで生活を向上させられるような「自立」へのサポートも大切になってきます。
日本ではどうなっているの?
遠いことのように感じがちな「貧しさ」の問題ですが,わたしたちが暮らす日本にもあります。実は日本は先進国の子どもたちの状況を比べた調査で,「子どもの貧困」については,37カ国中23位。7人にひとりが相対的貧困となっています。日本国内での豊かな人と貧しい人の差が開いてきていることがわかります。※2絶対的貧困というとわかりにくいですが,相対的貧困を考えると,実は他人ごとではないのです。
※2 出典:ユニセフ
自分たちにできることは?
世界の貧しさの問題を解決するために,わたしたちには何ができるでしょうか? まずは,どんなことが起きているのかを知ることが最初の一歩。世界ではどんな食事をどれくらい食べているのか? インターネットや本で 探してみるのも方法です。
自分が普段食べている量と比べてみると,「貧しさ」という問題が身近に感じられるかもしれませんね。
原稿作成:日経BP社/東京書籍
協力:一般社団法人SDGs市民ネットワーク