SDGsの達成のために、日本に住むわたしたちには、なにができるのでしょうか? 日本でSDGsの活動を広めている国連広報センター所長の根本かおるさんに聞いてみました。

SDGsの達成のために、日本に住むわたしたちには、なにができるのでしょうか? 日本でSDGsの活動を広めている国連広報センター所長の根本かおるさんに聞いてみました。
わたしが所長をつとめる国連広報センターは、国連の情報を日本に、日本の情報を国連に伝えるという、国連と日本をつなぐ「かけ橋」のような役割を果たしています。その中でも、重要な仕事のひとつが、世界で取り組んでいる「SDGs」を広く日本のみなさんにお伝えすることです。
SDGsは、2015年9月、米国ニューヨークにある国連本部で、世界の193の加盟国が採択した世界共通の持続可能な開発目標です。地球には今、さまざまな問題が山積みで、それは複雑に絡み合っています。
このままでは、地球は持たない──。そんな危機感から、世界中のあらゆる立場の人々が協力することで、地球の問題を解決していこうというのがSDGsです。
2015年9月に開催された「持続可能な開発サミット」に先立ち、国連の事務局ビルと総会議場ビルにはSDGsのアイコンが投影された
©UN Photo/C. Pak
SDGsには、2030年までに達成を目指す17の目標があります。これは、国、企業、研究者、一般の市民、先住民や女性、若者、障がい者など社会的に立場の弱い人々など、あらゆる人たちの声を聞き、さらにインターネットによる1000万人以上からのアンケート調査から決められた目標です。 幅広い分野にまたがるこれらの問題を達成するには、「All the Planet(地球全体)」で取り組むことがなにより重要になってきます。
世界の目標というと、遠い世界のことのように感じてしまうかもしれませんが、SDGsは身近な場所から考え、行動できる目標です。そのためにも、まずはSDGsを正しく知って、理解する。そのうえで行動に移すことが大切になってきます。
国連広報センターでは、みなさんに広くSDGsを知ってもらうために、お笑いのよしもととも協力。お祭りで一緒にパレードをして、SDGs漫才など、見て、笑って、体験するイベントを行ってアピールしています。
毎年行う「持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテスト」(高校生以上が対象)では、2018年から日本国内で撮影した写真に限定し、日本からSDGsを考えます。また、6月8日の「世界海洋デー」には、タレントのさかなクンと一緒に、海の汚れとプラスチックゴミについて考えるイベントも行いました。
「SDGs×島ぜんぶでおーきな祭」 ©2009-2017 沖縄国際映画祭/よしもとラフ&ピース
©外山慎一郎(日本)“CRYSTAL”、2016年入賞作品
こういった楽しいイベントに参加したり、見に行ったりすることも立派なSDGsの行動です。目標が17つもありますので、そのうちのどれか興味をひかれるものがあったら、ぜひ自分で調べて、学校や家庭で話題にしてみてください。それこそが、SDGsを実現していく最初のアクションです。
次は「自分にできることはなんだろう?」と、「自分ごと」として考えてみること。
プラスチックゴミを出さないようにマイボトルやマイバックを持ち歩く。食材は地元の食材を地元で消費する地産地消を心がけて、輸送のときのCO2を減らす。食べ残しをやめて、まだ食べられるのに捨てられてしまう食材のフードロスを減らす。毎日の生活の中でも、あなたができることはたくさんあります。
SDGsは2030年に目標の達成を目指しています。そのころ、今の子どもたちは大人に成長して、社会の中心で活躍しているはずです。今から積極的に自分でSDGsにかかわっていくことが、2030年の世界をよりすばらしいものに変えていくことになるでしょう。
世界や日本の問題を知って、それを自分の身の回りの問題に置き換えて考えてみる。その解決のためには、家や学校でどんなことができるのか? 家族や友だち、学校の先生、地域の人たちと協力して、実行していきましょう。
SDGsは未来に向けた「世界の共通の言葉」です。その最大のポイントは、ひとりひとりの尊厳を大切に「誰ひとり置き去りにしない」社会を築くこと。現代に生きるわたしたち、そして未来の地球に生きる人たち全員が、豊かで幸せに暮らすためのコンパス、それがSDGsなのです。
東京大学法学部を卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。米国コロンビア大学大学院に留学。1996年から2011年末までUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)にて、アジア、アフリカなどで難民支援活動を行う。フリージャーナリストを経て、2013年より国連広報センター所長となる。
ナマケものなあなたでも、自分なりにできる身近なSDGsを考えてみましょう。
SDGsってなんだか難しい? そんなことは、ありません。家にいても、ソファに寝転がったままでも、外出先でもできる、ちょっとしたアクションをご紹介します。
ソファに寝転がったままでもできるのはこれ!
家の中でできるのはこれ!
外出先でもできるのはこれ!
取材協力:国連広報センター
取材・原稿作成:日経BP社/東京書籍